税務最新情報
2023年04月10日号 (第465)
令和5年度税制改正 オープンイノベーション促進税制
みなさん、こんにちは。マスクをしている人が減りつつあります。はやく、コロナ前の状況に戻るとよいですね。
さて、今回より令和5年度税制改正における、法人税関係の内容に入っていきます。
オープンイノベーションとは
普段の税理士業務では、オープンイノベーションという言葉自体が身近なものではありません。簡単に言えば自社だけの力ではなく、他社、大学、地方自治体など異業種や異分野の技術やノウハウなどを組み合わせて、新しいビジネスを創り出すというようなイメージです。自社にない技術の導入や、コストの削減なども該当すると思います。
ご参考までに、トヨタ自動車がやっている「TOYOTANEXT」は、オープンイノベーションプログラムとして、他の企業や研究機関等から新たなサービスを募集していました。サイトを直接見てもらう方がわかりやすいと思います。
https://global.toyota/jp/detail/14429020
各方面からアイディアを募集し、そのアイディアについてトヨタ自動車と協業していくという事業になります。
オープンイノベーション促進税制とは
オープンイノベーションの協業の仕方はいろいろあると思うのですが、オープンイノベーション促進税制では、スタートアップ企業の株式を取得した場合、その取得価額の25%を損金算入できる制度となっています。ただし、一定期間内に株式を売却したような場合には、益金に算入されることになります。
従来は増資に応じる形での新規出資に限定されていましたが、令和5年度税制改正にて、M&Aによる既発行済株式の取得により、議決権の過半数を有した場合でも適用されることになりました。
ざっと要件を比較すると、下記のとおりとなります。
払込みによる取得 (従来型) | M&Aによる取得 (令和5年度改正追加) |
|
---|---|---|
投資金額の下限額 | 大企業1億円以上 中小企業1千万円以上 海外企業5億円以上 | 5億円以上 海外企業は対象外 |
投資金額の上限額 | 50億円 (改正前は100億円) | 200億円 |
特定事業活動の継続期間 | 3年 | 5年 |
従来型では、損金算入される上限額は1件当たり12.5億円、一事業年度当たり年間125億円です。損金算入が投資額の25%ですから、投資金額ベースに直すと1件への投資としては50億円、会社全体では500億円という金額になります。
また、改正によって追加されたM&Aによる取得の場合、会社全体として損金算入できる上限金額は変わりませんが、1件当たりの損金算入額が50億円となり、200億円までのM&Aに活用できる仕組みとなっています。
この税制自体は大企業向けのスケールです。一方で、投資をされる側からは、アイディアや技術次第で、下限額で1億円の出資が見込め、買い手がつけば200億円のM&Aにつながる制度との見方もできます。
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